生活用品 ※Effie Ⓡ Awards より引用 (www.effie.org)

誰も気にしなくなったブランドをどう復活したか

課題

80年の歴史をもつクリネックスは、半数以上の家庭にあり、半ば家具の一部になっている。誰もが知っているが、誰も気にとめないブランドになっている。長い間に、クリネックスは、身体から排泄される不潔なものに関連して連想されるものになっている。ブランドに新たな自信をもたらすための変化が必要。しかも、セールスは2000年代になって下降線をたどり始めている。

目的

1.有徴化するために、人々を広範囲に、強力に、感情的に巻き込む。

2.ブログサイト、YouTubeのバイラルな話題性、マスコミ取材を通じた反響を期待。

3.「自信をもって使えるブランドになったか」「あなたの好きなブランドになったか」とキャンペーンを認知した人々から聞きたい。キャンペーンを認知した人と認知していない人の意見の相違点として「あなたの感情を最もぶつけられるブランドになったか」を聞きたい。

4.最も重要な結果として、マーケットシェアにインパクトを与え、市場シェアを拡大できたか。あるいは、シェアの低下をとめることができたかを確認したい。

アイデア

「感情を制御するのではなく、感情を解き放つためのクリネックス」

  • このインサイトの発見は、フォーカスグループや生活者インタビューからは得られなかった。

  • ラジオでオンエアされた番組の中にインサイトがあった。バグダッドで緊急医療にあたる医師団の看護婦の声「こんなに悲しくて悲惨なことが起きているのに、淡々と職務をこなしていた。誰かが1箱のクリネックスティシューを私たちのそばに置いた瞬間から、我々の目から涙がとめどなくあふれ始めた。そして、泣き終わった私たちは、なぜか気分がすっきりしていた」

実施

(このアイデアをどう生活に持ち込んだか)クリネックスが消極的なブランドでなく、人々に積極的に関係するブランドにしたいー泣いたり、叫んだり、悲鳴を上げたり、感情表現の自由を手に入れる!一枚のティシューが人々の気持ちを良くし、世の中を少しでも良くすることが出来るブランドにしたい。

感情を開放することは、社会と人々が自己防衛本能のガードを下げることが必要だった。

私たちは街に出て、路上にソファーを置き、傍らには優しい聞き手がいて、一箱のクリネックスを用意した。

孤独な街の人々には、いい聞き手とクリネックスがあれば感応すると発見。

会話を弾ませるためにテレビだけではなく、たくさんのアプローチを試した:

  • ラジオ(個人の主張を励ます黒人女性の司会者Oprahの番組提供)

  • プリント広告(折りたたまれた頁を開くと“気持ちを晴らそう!”マニュフェスト)

  • 劇場(エモーショナルな体験をしたいと待ち構えている人々がたくさんいるところで「会話」をしかける)

  • 街頭ライブイベント

  • バナー広告(タイムリーな話題を提供し、“気持ちを晴らそう!”と訴求)

  • PR(感情表現に関するアメリカ人の行動と態度を、パブリシティ記事に)

結果

  • クリネックス広告史上かつてないくらいのポジティブでエモーショナルな反響を得た。

  • キャンペーンが始まると数日後には、多くのマスコミが取材し、報道。

  • 活発なデジタルエンゲージメントに成功(ブログサイト、SNWの書込み多数)

  • USA TODAYのWhitney Matheson「オーケー、認めよう、新しいクリネックスキャンペーンが好きだ」

  • ポジティブな反響がネガティブな反論より150%多かった(“勇気がある”“心に触れる”“素晴らしい”“最高”“好きだ”“新鮮だ”“励まされる”等の声が集まった。

  • 商品が変わっていないのに、こんなに褒められたことはない。セールスが4年間の下降線から初めて上昇に転じた。.05%セールスアップした。一見これは大きい数字には見えないが、金額換算すると、5千万ドルの売上げ増加になる。

  • シェアの増加より重要なことは、感謝の従業員からウオールストリートに至るまで、共感を得た。クリネックスの新しい商品を導入するタイミングを獲得してくれた。

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