ファーストフード ※Effie Ⓡ Awards より引用 (www.effie.org)

商品を変えることなく、バイラル効果を高めることでセールスアップした手法とは。四半期利益を29%増加させたバーガーキングの戦略

戦略的アプローチ

発売50周年を迎え、年間10億個以上売れている商品を、販売のハイシーズンを狙って広告のみで売るためのレトリックを模索した。

発売50周年記念の特別の商品をつくるわけではなく、また、サービス価格、クーポン、プレゼント、あるいは流通を変えるわけでもなく、主力商品の“ワッパー”を顧客に今まで通り愛してもらい、今まで以上に食べてもらう挑戦を試みた。

マックの“マックスキレット”やウエンディズの“ベイコネイタ―”と売り上げ競争をしながら、この挑戦を行った。

新しいニュースもなく、商品を変えることなく、“ワッパー”を提供する。 アメリカ人が他のどのバーガーよりも愛してやまない“ワッパー”であることを唯一の自信にして臨んだ。

目的

  • “ワッパー”は、アメリカが愛する象徴的バーガーであることを再徹底する。

  • “ワッパー”の販売量、及び店舗の対前年同期(12月~1月)売上を伸ばす。

ビッグ・アイデア

アメリカが愛した“ワッパー”を奪い去ることで、愛を再確認する。

私たちが求める単純な事実は「“ワッパー”がアメリカで最も愛されているバーガーである」。 これを証明する意見はたくさんあっても、それらを自慢することはやりたくないこと。例えば、個々の好みをアピールする広告は、知らない人に向かって「(私と違う)あなた、おかしいんじゃない」というようなことであって、人々が“ワッパー”を愛していることを証明する唯一の方法は、実際に見せるしかないと私たちは考えた。

しかし、実際に見せるといっても、一般の人々にとっては飽きるほど見てきたし、陳腐な手法と思うでしょう。路上でいろいろな人が味わって、味わって、にっこりする。こんなことはやりたくない。今までだれもしたことがない方法が必要だった。

私たちは小さな実験を考えだした。感想を聞くために、“ワッパー”を人々にあげる代わりに、“ワッパー”を人々から奪って、何が起きるかを見た。

ラスベガスのバーガーキングを1日借り切った:
1)“ワッパー”をメニューから取り去ることを人々に告げた
2)“ワッパー”の注文をライバルの“ビッグマック”と取り換えたりした

この実験は、完全にリアルで、顧客の代わりに、テレビのエキストラを使ったりはしなかった。店を訪れた普通のお客さんを使った実験だった。即ち、リアリティTVの番組手法を使って、それを広告に活用した。

起きたことは、私たちの想像を超えるものだった。人々は、パニックになり、それをフィルムに収めた。

実施

世間への広め方は、実際にパニックになったことを、人々に話してもらうように依頼した。

テレビCMを使って、ウエブサイト”Whopperfreakout.com”に誘導した。ウエブサイトでは、店内で起こったハップニングを捉えた8分間のドキュメンタリー映像が見れるようになっていた。このフィルムは、リンク及び個人のブログサイトやソーシャルネットワークにアップロードできるように設定され、口込み効果を増幅した。

話題が、インターネットで広がる速度を速めることに集中した。バーガーキングは、マックより3倍広告費を使ってきた。 このことは、メディアに対するインセンティブとして機能し、プライオリティの高い情報として、他のフリーメディアへ影響を与えていった。

500万人を超える人々が、8分間のビデオをインターネットで視聴し、1千400万人がテレビCMをYoutubeで見ることになった。この露出は、100のパロディをYoutubeで生み出した。また、キャンペーン期間中にバーガーキングについてのブログでの引用を300%増やした。これは、広告メディア費用の20%に充当する効果を生んだ。

優れたコンテンツが、単純なメディア戦略で、驚くほどの結果を達成した。弱いコンテンツでは、いくら賢明なメディア戦略でもこの成果は達成できなかったものと思われる。
“ウエブの嵐”をおこすためのテレビCMが機能したのも、人々の興味をそそり、ちょっかいを出したくなるコンテンツが最大のポイントだった。

●コミュニケーション タッチポイント <○採用 X不採用>

○テレビ

Xパッケージ

Xフェア

○スポットCM

X商品デザイン

X協賛

Xブランディッド・コンテンツ

X劇場CM

X流通

X番組提供

○インタラクティブ

XPOP

Xプロダクト・プレースメント

○オンライン・アド

X店内ビデオ

○ラジオ

○ウエブ展開

X陳列

○スポットCM

○バイラル・ビデオ

Xセールス・プロモーション

X商品提供

Xソーシャルネットワーキング

X店内デモ

X番組提供

Xポッド・キャスト

Xゲリラ展開

○印刷媒体

Xビデオゲーム

X街頭チーム

X業界紙

X携帯電話

X商品タッグ

○新聞広告

Xその他

X商品包装

X雑誌

○屋外広告

Xバズ・マーケティング

X突き出し広告

X空港

Xアンビエント・メディア

Xダイレクト

X駅

Xサンプリング

X郵送

○屋外ポスター

○コンシューマー巻き込み

XEMAIL

 

X噂操作

○PR

 

○コンシューマー・ジェネレーティッド

Xイベント

 

Xバイラル

●キャンペーン規模
アメリカ全国展開
媒体費合計:10億円~20億円

結果

  • 「“ワッパー”の四半期の売上が、二桁増を記録した」(NPD Group/Crest Dataより)

  • 「“ワッパー”が、バーガーキングの第二四半期の利益を29%増加させた」 Associated Press, 1/31/08 (運営費用を必要とする特別プロモーションよりも多くの利益をもたらせた)

  • 「ワッパーは、バーガーキングの利益を増加させた。競合のマクドナルドやスターバックスが苦戦する中、バーガーキングは大幅な利益アップを果たした。バーガーキングの象徴的メニューがなくなったことに腹を立てた顧客を捉えたキャンペーンが、米国とカナダの売上を5.4%増加させた」 Bloomberg News, 5/2/08

  • 「07年の最も記憶に残ったレストラン広告になった。 “ワッパー・フリークアウト”キャンペーンが、記憶に残ったレストラン広告のベスト10の内6作品として選ばれた」Nielsen IAG Research, 1/1/2007~ 1/31/2008

  • 「500万を超える人々が、8分間のフィルムを“ワッパー・フリークアウト・ドットコム”で視聴した。 “ワッパー・フリークアウト”キャンペーンが、ポップカルチャーのコンテンツになった。一般視聴者に120のパロディをYoutube にアップロードさせ、120万人に視聴された最も人気のあるサイトになった」 BKC 2008 Annual Report,Burger King Corporation, May 2008

  • エフィー賞09年グランプリに輝いた。

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QP memo

日本より少しは寛容度が高いとは言え、米国でも顧客を“かつぐ”ことはリスキーな試みである。 しかし、ウエブムービーを撮影した実験店をラスベガス1店のみに限定し、顧客のネガティブな反発を撮影時間中の一瞬のものとして、笑顔で終わらせるキャンペーンを組み立てた。

同時進行型の“リアルTV”に慣らされている聴衆の関心を買い、バイラルに火をつけて、販促実績を高めることに成功した。

米国のマックに対抗するバーガーキングのように、日本でもマックに対抗したロッテリアが、味に自信があることを印象付ける「美味しくなかったら、返品を!」キャッシュバック・キャンペーンが、店舗が想定した返品率1-5%より下回った0.2%に留まり、美味しさを印象づけ、マスコミ取材があり、話題を得ることに成功した。

この“良心企画”が、日本的な“社会実験”のゲリラ・アプローチと言えるのではないか。 一方、バーガーキングのような人を“かつぐ”企画は、日本には絶対なじまないと、決めつけない姿勢こそが最低限必要と思われる。